クアラルンプールではLRTで通勤してました

20年ちょっと前にもクアラルンプール(KL)に3年ほど住んだのですが、その時は郊外から市内の職場まで車で通ってました。しかし、当時からKLは渋滞がひどく、特に雨でも降ろうものなら到着時間は全く予想できないという状態でした。

その経験があったので、3年前に再度KLに住むことになった時には、前回の赴任後にできたLRT(小型の電車で、輸送量は山手線などの日本の一般的な鉄道よりも小さい)で通勤しようと決めました。前回と同じくやはり郊外に住むことにして、少々家賃は高くなりますが覚悟して駅に近いコンドミニアムに住居を決めました。

結論から言うとLRTを使った通勤はとても快適でした。ただし、快適に利用するためには条件があります。職場も家も駅に近いこと!これが絶対だと思います。


通勤に使っていたクラナジャヤ線、2両編成の時もある。ここはKLIA線(空港に行く路線)とKTM(マレー鉄道)の線路も通っている。

たまに雨で足止めを食らうことはありましたが、職場も家も駅から5分圏内の場所だったので徒歩で駅まで行き、渋滞のストレスなく快適に通勤をすることができました。私が通ったBangsar-Ampang Park駅間は7駅、乗車時間は13分程度でした。

朝の通勤時間帯は2〜3分間隔で列車が来るので待ち時間は気になりません。混雑状況は、当初は東京で電車通勤していた私にとってはほとんど気にならないレベルでした。しかし、クラナジャヤ線が南方に延長された後、乗客がどっと増えて、列車に乗るまでに1〜2本見逃さねばならないことが時々起こるようになりました。

でもここでは日本のように押し合いへし合いして乗り込むようなことはなく、基本的に他人の体に触らない程度にしか詰めません。なので、本当に急いでいる時は前に並んでいるマレーシア人が乗るのを諦めたのを見計らって、東京で鍛えた技術(後ろ向きになって扉の上を片手で押さえてお尻から隙間に入って行く)を駆使して滑り込んだことも何度かあります。


クラナジャヤ線の車両

クラナジャヤ線はゆりかもめのように無人運転で運行されていますが、2年半乗っていて自分の乗った車両が止まったことは記憶の範囲で2回でした。いずれも10分ほど停車したのち動きました。

遅延はたまにあるほか、車両故障でほぼ丸一日運行を休止したニュースも聞いたことがありますが、全般的に言ってあまり目立ったトラブルはありませんでした。全てのダイヤが各駅停車だし、線路も高架か地下のみで人が入り込んだりする余地も少なく、シンプルなのも理由の一つかもしれません。地下駅のホームは全て扉で線路と分離されています。

クアラルンプールには、他のLRT路線のほか、モノレール、空港や行政都市であるプトラジャヤに行くKLIA線、KTM(マレー鉄道)の通勤線、そして昨年7月に開通したMRT(LRTよりも輸送量が大きい)など都市鉄道が整備され便利になってきています。

特に多くの路線の結節点になっているKL Sentral駅を経由すれば、鉄道でかなりいろんなところに行くことができます。


駅にある路線図
(こちらにPDFがありました→2017.7版(Rapid KL)

でも、最初に書いたとおり、問題は駅までどうやって行くかなんです。あるいは駅から目的地にどうやって行くか。通信事業なんかでも言われる「ファースト・アンド・ラスト・ワンマイルの問題」(最初と最後の部分をどうするか)としてマレーシアでも議論されてました。

日本だと普通はバスで駅まで行くか、歩いて(あるいは自転車で)駅まで行くかですよね。これがどちらもマレーシアでは難しいんです。これについては、後日書いてみたいと思います。

KL Sentral駅に滑り込むLRT



新しくできたMRTの駅とホーム

アダムの選択(亜東 林)

 

手のひらの中の彼女(亜東 林)

 

シライン(亜東 林)

 

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マレーシアの便利なプリペイドSIM

先日、知り合いに聞かれてマレーシアで携帯電話(iPhone)を使ってきた経験について話をしたら、とても参考になると言われたので、マレーシアと日本を行き来してきた際の携帯電話にまつわる話を書いてみます。ただし、私はITについては全くのど素人で、必要に迫られて色々とやってきただけですので技術的な正確性や情報の正しさは保証しません。あしからず。

1.準備

(1)SIMフリーiPhoneの購入

2014年の暮れにマレーシアに行くことが決まり、現地での携帯をどうしようかと考えた結果、SIMフリーのiPhoneを買うことを決心。当時の最新モデルであるiPhone6を日本のアップルショップで買いました。それまでずっと大手通信キャリアのiPhone5を使ってましたが、当時はまだSIMロックの解除をしてくれることにはなっていなかったので仕方なくの選択です。

もちろん、日本ではこの大手キャリアのSIMをiPhone6に挿し、マレーシアではマレーシアのキャリアのSIMを挿して同じ携帯を両方の国で使おうという魂胆です。いま思うと、マレーシアでiPhoneを買って日本とマレーシアで別の携帯を使ってもよかったかもしれませんが、肌身離さず持つスマホは常に使い慣れたものを持ちたかったので、携帯するのはiPhone6に限定して、iPhone5は音楽再生専用にしました。

こうして最新のiPhoneを買ったのですが、実は注意せねばならないことがあります。iPhoneは販売している国によって通信方法や使用する周波数帯などの違いによって、細かくモデルが分かれています(ほかのメーカーの携帯も同じだと思う)。この時も調べてみたのですが、日本で買ったものがマレーシアでも使えるのかははっきりわかりませんでした。当時マレーシアでのiPhone6の販売がまだアナウンスされておらず、情報がなかったという事情なのですが、それまでのモデルの実績からみて多分大丈夫だろうと見切り発車で買ってしまいました。結果は問題なくマレーシアでも使えましたが。

2.マレーシア長期滞在時

(1)プリペイドSIMの購入

マレーシアでは大手の通信キャリアとしてCelcom、Maxis 、Digi というのが有名でした。マレーシアに着いてからマレーシア人の知り合いにどこの会社がオススメかと聞いてみたら「どれでもいいと思うけど、プリペイドで十分じゃない。自分はずっとMaxisのプリペイドを使っているよ。」とのこと。

Celcomの方が地方でも繋がりやすいとか各社でいろんな特徴はあるみたいですが、私の場合この一言でMaxisのプリペイドを買うことに決めました。それまではマレーシアにしばらく住むことになるので1年とか2年とかのポストペイ契約(使った分だけあとで請求が来る)を結ぶことになると思ってたんですが、プリペイドであれば間違って大量にデータ通信をしてしまっても一定額に収まるし、基本料金みたいなものも特にないので、気楽に使えるためです。

プリペイドSIMを買ったのは仕事場の近くの古いショッピングモールの中にある小さな店。MaxisのプリペイドSIMはHotLinkというブランドで真っ赤な看板の店で取り扱っています。「プリペイドSIMが欲しい、iPhone6のSIMフリー版で使う」ぐらいのことを言ったらパスポートのコピーを取られた上で、2つの電話番号を示されて一つを選び、SIMの代金(高額ではなかったと思う)と最初のチャージ代を支払うと、さっさとSIMを差し込んでセッティングしてくれました。基本的な使い方も教えてくれて15分ほどで全て済んだと思います。

(2)使用感

追加チャージの方法は、最初の頃はHotLinkの店でチャージ分の値段の「カード」を買い、銀色のマスクをコインで削って出てきた番号を入力するというややアナログなやり方でした。最初はこれも店の人に全部やってもらってました。そのうち、使用可能なデータ残量や購入残高が表示される便利なアプリがあることを知り、このアプリを使ってクレジットカードを使ってデータプランを購入するようになりました。ちなみにマレーシアではこの追加チャージのことをトップアップ(topup)と言っています。最初はなんのことかわからなかったけど、英語でこういう表現をするんですね。

結局マレーシアに住んだ2年半の間、ずっとこのプリペイドSIMを使い続けました。私は家にいる時は別途契約したwifiを使いましたが、外出時はずっとこのSIMを使いました。でも1ヶ月にかかった経費は平均して2000〜3000円代ぐらいで済んだように思います。動画こそ外では観ませんが、電車で通勤している間や職場でもいろんな情報を集めたり、車に乗る時はカーナビアプリを使ったり、地図ソフトを使ったり、メールをしたりとかなりヘビーな使い方をしていましたが、その割に特にトラブルも無くこの金額で済んでたので日本に比較するとやはり割安だったと思います。

テザリングも可能で、スタバなどのカフェでパソコンを使う際には、カフェのwifi回線が遅かったり設定が面倒だったりするので、よくテザリングを使っていました。(ただし、テザリングについては先日トラブル発生。後述します。)

(3)日本に一時帰国した時の経験💢

日本を出発する時、大手キャリアとの契約はとりあえずそのままにしました。年に2〜3回、1週間ほど一時帰国する時にも携帯は必需品だし、家族の携帯も全て私の携帯と関係付けた形で契約していたことや、契約解除してそれまで使っていた電話番号が使えなくなるのもいやだったからです。

しかし、全く使わないのに毎月7千円もの料金を取られるのは耐えられないので、何回目かの一時帰国の際に契約内容を変更し、それまでのデータ通信無制限の契約から従量制の契約に変更して基本料金を抑えることにしました。日本に帰国した際には、極力データ通信を使わないようにするか、帰国時に一旦契約内容をデータ通信無制限に戻せばいいだろうと考えたわけです。

その後これが全く甘い考えだったことがわかりました。その次に帰国した際に契約を元に戻そうとしてキャリアに電話したところ、契約の変更は、変更した月の翌月からしか適用にならない、とのこと。そんなにタイミングよく帰国したわけではないので、仕方なく、できるだけデータ通信量が大きくならないようにスマホを使っていました。しかし、ほんの2〜3日後キャリアから電話がかかってきて「通信料金が2万円を突破しています。このまま使い続けられますか?」と。ぎゃっと驚き、その後は使うわけにはいかなくなりました。自分ではそんなに使っているつもりはなくとも、スマホのデータ通信料は従量制ではとても耐えられる額ではありません。

その次の一時帰国の際には、「じゃあ、帰国のスケジュールが決まったらマレーシアからネット上で契約変更をしておき、その翌月に帰国すれば良いではないか」と、インターネットで契約変更を試みました。しかしこれも不可能でした。契約変更のために本人認証が必要なんですが、これが契約している日本での携帯電話番号に送られて来るショートメッセージ(SMS)を鍵として使うというんです。もちろん、マレーシアで日本の携帯番号で通知を受けることはできません。ローミングをすれば受けることができるのかもしれませんが、そのために一旦ローミングのスイッチを入れただけで何千円かの費用を請求されるはずなので、ばからしくてやってられません。

結局、その後何度も一時帰国をしましたが、その際には成田か羽田に着いた際に外国からのツーリスト向けのプリペイドSIMを空港で買って使うようにしました。通話もデータ通信も両方できるものだと、1週間ぐらいの期間限定で7〜8千円かかり、データ量の限度もあるし電話番号もその都度変わりますが、これが当時考えた一番ましなやり方でした。

通信キャリアも簡単に契約変更をされては困るというのも理解できますが、もう少しなんとかならないかと思います。SMS以外の本人認証の仕組みも用意するとか、少なくとも「契約変更手続きの翌月から適用」じゃなくて「1ヶ月後から適用」というならまだ納得がいくのですが。料金の日割り計算だってできなくないと思います。

あまり文句を言うのは良くないと思いつつ、過去経験した海外赴任の際には某電力会社の融通の効かない仕組みとか(ガスや水道は柔軟にやってくれるのに)、海外に行く時の手続きが銀行によって全然違うとか、どうも疑問に思うことがありました。日本はもう少し国際化に対応していると思っていたんですが。。。

3.帰国後

上記のようなことを経験したので、昨年日本に本帰国した直後に大手キャリアとの契約は解除して、いわゆる格安SIM(MVNO)に乗り換えました。それからは日本が主、ときどきマレーシアに行くという生活になっています。HotLinkのプリペイドSIMは帰国後もマレーシアに行く時に使用していますが、基本料金を取られないので、日本に居る時には基本的に料金は発生しません(ただし、一定期間が経つとデータプランが無効になるので、滞在時にほぼ使い切るようにプランを買う必要はある)。

一方、日本の格安SIMは1ヶ月に最低必要な額は2千円未満で、マレーシアに行っている間使用しなくても、私としてはまあ耐えられる金額です。このMVNOのSIMは所定のデータ通信量(私の契約は3G)を超えると、追加でデータ購入する必要がありますが、今までの実績を平均すると総額で大手キャリアのデータ無制限プランを使っていた時の半額ぐらいで済んでいます。言ってみれば純粋なプリペイドではないけれども、準プリペイドSIMといった感覚で使っています。古い機種しかテザリングができないように制限されていたり、SIMを差し替えたあと電波を捕まえるのにもたつくとか少し不満もありますが、全般的にはとても満足できるものです。(広告を入れたくなってきた!)

4.トラブル

4月にマレーシアに行った時に、HotlinkのSIMでテザリングをしてパソコンを使おうとしたら、全く繋がりませんでした。それまで3年以上使ってきて全く問題なかったし、今回あてにしていたので大いに慌て、あれこれ設定をいじったり、Hotlinkの店に行って確認してもらったり。最後はアップル製品取扱店でiPhoneのデータをバックアップした上で、全消去してiOS(11.3.1)を入れ直してもらったり。でも直りませんでした。iPhoneが壊れたかHotLinkがテザリングを禁止してしまったのかと半ば諦め、仕方がないのでポケットwifiを買おうかと物色し始めた時、たまたま今回通信機能付きのiPadを持ってきていたことを思い出し、SIMを差し込んでみたら、なんの問題も無くテザリングができました。iPhoneは日本に帰ってから日本のSIMを使って問題なくテザリングできたので、壊れたわけではなく、どうやらiOSのバージョンとHotLinKのSIMの相性が悪かったのではないか、というのが今の結論です。iPadには一つ前のバージョンのOSが入っていました。今月下旬にまたマレーシアに行こうかと考えているので、iPhoneのOSをアップデートして試してみようと思っていますが、どうなることやら。

ちなみに、私の知る限り日本では純粋なプリペイドタイプのポケットwifiは無くなってしまいましたが、今回のこのトラブルでマレーシアで探してみたところ、マレーシアでもやはり純粋なプリペイドのポケットwifiは見つかりませんでした。どれも契約をして基本料金を毎月取られるものです。でもひょっとすると、空港で売っているような旅行者向けのデータ通信のみのプリペイドSIMと、使わなくなった携帯電話でも使えば、ポケットwifiとして安く活用できるんでしょうか?でも旅行者向けのSIMは街中では売っていないようだし。。。何か制約があるんでしょうか?そういう意味でも、Hotlinkのような使わない時には料金が発生しないタイプのSIMは貴重だと思います。ちなみに、マレーシアでは前述のCelcomやDigi、それからU mobileといった会社もプリペイドSIMを出しているそうです。私は使ったことがないので、使い勝手や値段についてはわかりませんが。

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サラワクのタキシードパーティー

ボルネオ島にあるサラワク州の州都クチンに行ったことがあります。街の中心部をサラワク川がゆったりと流れてとても気持ちがいい綺麗な街です。


サラワク川から見たクチンの街

クチン(マレー語)= 猫、道路の真ん中に猫の像がある

仕事の関係で、州の主催で開かれた大きなレセプションに参加させてもらったのですが、サラワク州政府関係者とサラワクの発展に関係のある団体や大学、企業などさまざまな関係者が何百人と集まる、ちょっと日本では考えにくい大きなパーティーでした。

マレーシアでもある程度あらたまった会合の際にはきっちりと招待状を出しますが、もらった招待状のドレスコードが男性はタキシードだったんです。

それまでに出たことのあるマレーシアの夜のレセプションは、どんなに偉い人が出るときでもシルクのバティックかダークスーツを着るかで済んでいたので、ちょっと面食らいました。タキシードは自分の結婚式の時にしか着たことないし、そんなもん持ってないよと思いつつ、しょうがないから黒の蝶ネクタイだけ買って、黒の礼服を着て誤魔化すことにしました。

でも、ちょっと気をつけた方がいいんです。こういうのを真に受けて頑張った格好しても、いざ会場に行ってみると普段着の人がいっぱいいたりして、かえって頑張った方が浮いてしまうということもありがちです(実はこの時着た礼服も以前”真に受けて”買ってしまったもの)。というわけで、この時は蝶ネクタイが”浮く”可能性があるので、いつでも取り替えられるよう普通のネクタイもポケットに忍ばせて参加しました。

ところが、会場に着くとみんなちゃんと着ているんです。タキシードを。もちろん100%ではなく7〜8割ぐらいの印象ですが。あの腹巻きみたいなのもちゃんと着けています。

見ていると、私も含めてサラワクの外から参加した人はマレーシア人も外国人もタキシードの着用率はかなり低めです。着用率が高いのはサラワク州の人達のようです。もちろん州政府の上からの指示でしょうから守らないわけにもいかないでしょうが、貸衣装屋もそんなにあるわけないので、皆さんもともと持っているとしか考えられません。

マレーシアなので政府が正装と認めている長袖のバティックかスーツでいいじゃないかと思ったのですが、考えてみれば半島部ほどバティックの歴史はないし、そもそもサラワク州は連邦政府と距離を置いているし、半島とは少し違うのかも知れません。

そして何よりも、あとで知ったんですがサラワク州には昔イギリス出身の王様がいたんですね。19世紀半ばから第二次世界大戦の頃まで、3代にわたってイギリスの後ろだてで”ホワイト ラジャ(王)”と呼ばれる白人の王様がサラワク王国を治めていたんです。きっと、タキシードを着る文化はその頃に根付いたんだと、あとで勝手に自分で納得しました。

本当にサラワクではタキシードをよく着るのか、その後誰かに聞いたわけではないし、他の州よりイギリス文化が色濃く残っているという話も聞いた事はないので、確かではありません。しかし、思い返すと皆さん慣れた感じで、楽しそうに前に出て余興をやったりしてたので、きっとホワイトラジャ以来の文化なんだろうと今も思っています。


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